映画解説
26 (Fri). May. 2023 今学期のモジュールは先日新たに発表されたSight & Sound誌が選ぶ歴代映画top250(批評家選出部門)からピックアップした映画を選び、「名作は何故名作と呼ばれるか」その所以を考える、というものでした。 既に皆さんご存知の通り、批…
9 (Sun). April. 2023 先日Twitterでもコメントした通りグレタ・ガーウィグ、ジョー・スワンバーグ共作映画"Nights and Weekends" (2008)を観まして、それで以てこの映画が中々奇っ怪な作品で非常に驚かされました。 基本的にはビデオ・カメラを雑に構えただ…
2 (Thu). March. 2023 グラグラふらつく、上下に揺れる、手持ちのカメラはリアリティの表現だと何故だか、無条件に了解していた。しかし手持ちカメラ=リアリティという等式は成立しない様だ。Twitterでそうした意見を見たのである。確かに考えてみれば我々…
17 (Fri). Feburary. 2023. 筆者がイギリスへ留学する、映画の勉強をする、と語った際に飽きるほど聞かれた質問がある。何故アメリカじゃないの?イギリス映画って例えばどんな映画があるの?007、トレインスポッティング、ノッティングヒルの恋人は分かるけ…
15 (Sun). January. 2023 皆様、あけましておめでとうございます。と言っても大分時間が経ちましたが。新年1発目の記事ということで年始の挨拶から始めようかなと。 今日の記事はすぐに読めるものを、映画の中でよく見るショットでありながら意外と撮影方法…
9 (Fri). Dec. 2022 Googleの検索エンジン、「映画 脚本 書き方」と打ち込んでみる。検索結果は570,000件。上から順番に開いてみる。柱、ト書き、台詞というものがある様だ。ト書きは数マス下げて書くらしい。 脚本を書く際には三幕構成というものを意識する…
22 (Fri). July. 2022 演技にリアリズムを獲得する上でメソッド・アクティングが如何に強力で有効なツールか、このことは既に十分論じたつもりだ。 sailcinephile.hatenablog.com 理想的な演技が登場人物と俳優自身の境目が消失する様なものであるとする時、…
20 (Wed). July. 2022 ジャック・ニコルソンに始まりヒース・レジャー、ホアキン・フェニックス、バリー・コーガン、アニメ版ではマーク・ハミルと数々の名優が挑戦してきた難役、ジョーカーだが、その中で一際酷評されたのがスーサイド・スクワッドでその役…
11 (Mon). July. 2022 一応物を書いて世に出す身分であるから(と言う程大した立場でもないが)、常々主張の根拠とする所は明らかにしておかねばならないだろうと考えている。ここでは映画を論じることが専らであるが、それに対しても「良い映画」と「悪い映…
8 (Fri). July. 2022 以前現代的な脚本では理性によって導かれた主題を前面に打ち出している点に特徴がある、と述べた記事を書いた。その内容自体は実際に公開された映画に対して適応出来る考え方であって、著しい誤謬は無いと考えているのだが、ある見方か…
4 (Mon). June. 2022. 7月1日公開されたばかりのバズ・ラーマン新作映画、エルヴィスだがこれまでのバズ・ラーマン映画とは違うーそして従来の映画とも異なるーある問題を孕んだ、物議を醸す映画であった。端的に言ってカットを切りすぎており、信頼された俳…
25 (Sat). June. 2022 本日のテーマは現代ホラー映画、そしてホラーゲームで最も大切な技術となっているジャンプスケアである。ここには先日の記事で解説した視線の一致と誘導が非常に大きく関係している。 近年では何かと批判されることも多いジャンプスケ…
24 (Fri). June. 2022 映画の本質は編集にある、というテーゼが一応映画学上では認められている。芸術の本質など時代ごとに変わる曖昧なものでしかなく、特にそれが映画の様な総合芸術では一際曖昧にもなるのだが、それでも映画に対する編集の大切さは十分強…
20 (Mon). June. 2022 過去3回に渡って脚本が映画内に於いて如何に機能するものか観察してきたが、最終回の本日は脚本の失敗例についてである。 脚本はプロダクションは勿論プレプロの過程で重要な役割を果たし、技術的な程度を保障する上で必要不可欠である…
19 (Sun). June. 2022 既に述べた通り、今日の時事が与える脅威はフィクションのそれを凌駕してしまっている。だからフィクション(それが映画にせよ文芸にせよ)は単に脅威を提出するだけでなく、それを超えて安息や恐怖などの感情を生み出すことに存在意義…
17 (Fri). June. 2022 先日の記事に引き続き、本日も脚本について検討する。最も基本的で王道と思われるハリウッド流古典的脚本術から始めて、本日は脚本(物語)を破壊する試みについて見ていこう。 予め断っておかなければならないが、今回は脚本を持たな…
16 (Thu). June. 2022 『ル・シッド』論争についてご存知だろうか。古典主義時代の17世紀フランスでピエール・コルネイユが著した劇『ル・シッド』が三単一の法則(時・場所・筋の一致)を無視したことから、両派分かれて展開した議論のことである。 当時の…
13 (Mon). June. 2022 カメラムーブメントについて学び、カットとは何か学習した所で、次の様な疑問が浮かんだのではないだろうか。 確かにカメラの動かし方、シーンの切り方は分かった。しかし映画は総合芸術で様々な要素が組み合わされて出来上がっている…
10 (Fri). June. 2022 この映画は斬新なカットで面白かった。あのショットはどうやって撮影したんだろう?泣けるシーンがあって、大変感動した。全くつまらないシークエンスがあった。 映画を分析したり批評したりする上ではどれも一般的な表現だが、果たし…
8 (Wed). June. 2022 先日の記事に引き続いてカメラムーブメント、特にpush-in shot と pull-out shot について解説する。pull-out shot の代わりに push-out shot という呼称も耳にしたことがあるが、恐らくは誤りだと思われる。少なくとも pull-out shot …
6 (Mon). June. 2022 これまで映画の見方、制作過程、そして基本的な映画の形式と続けてきたが以降いよいよ本格的な制作技術について見ていきたいと思う。 一番最初に取り上げる内容はカメラムーブメント、特に基本となる3つのムーブメントについて紹介する…
3 (Fri). June. 2022 先日の記事を読んで聡明な読者諸氏は1つの疑問を持たれたことだろう。 彼は映画形式としてのスタイルと作家性としての岩井俊二のスタイルを同列に語っているが、両者は別個の存在であるのではないだろうか?詰まり映画が映画であるため…
1 (Wed). June. 2022 以前「映画は総体として見られなければならない」と書いたと思う。 また「映画のジャンル分けは主に社会学的な観点と、マーケティング上の観点から行われる」とも書いた。 所で映画の総体とか形式、そしてジャンルとは具体的に何を指す…
30 (Mon). May. 2022 ウディ・アレンが次の様に語っていたのをよく覚えている。 映画を撮影している時は、いつも自分が大変な失敗をしているんじゃないかとビクビクしている。これじゃ駄目だ。売れる訳が無いってね。それでも編集室に入ってフィルムを繋いで…
25 (Wed). May. 2022 先日のプレプロダクションに引き続き今日はプロダクションについて解説する。 sailcinephile.hatenablog.com プロダクションは基本的にはプレプロダクションが終了してから開始されるが、実際には絵コンテやキャスティングなどpre-proの…
23 (Mon). May. 2022 映画は主に3つの工程を経て完成する。初めに準備をし、次に撮影をする。そして最後に撮影した映像を組み立てる。 今日は実際に映画を準備する段階、この段階はpre-production(プレプロダクション)と呼ばれるが、について解説する。 …